物語文の読解

文学的文章はどのように指導するの?

気持ちの変化(感情の動き)をおさえる

最初の数回の授業で「特化型テキスト」を用いながら気持ちの変化をとらえる方法を学びます。物語文の家庭学習の方向がみえてくる4つの方法を提示いたします。

心情の読み取りはお子様の人生経験の影響を受けますが、心情を整理する力を高めることは可能です。まずは前述の方法を入り口に心情の整理力を高めます。「整理する力」は、お子様の意欲次第で短期的に高めることが可能です。お子様が志望校に合格したい一心で、学んだ方法論を家庭学習に取り入れることができれば、心情の整理力および心情把握の正確さは格段にアップしていくはずです。

お子様の人生経験を増やすことも大切

上記は、国語の得意なお子様が無意識にやっていると思われることを、方法として苦手なお子様に提示しているものです。家庭学習やテストに取り入れることで徐々に現状を変えることができると考えております。

このように方法論によって本文を分析的に読むことも大切ですが、同時に、お子様の人生経験や予備知識の不足を補うことも欠かせません。テストのときに「何が書いてあったのかわからなかった」(素材文そのものがわからなかった、経験や知識がないため字面でしか読めない)といった事態に陥らないように学習の工夫をする必要がございます。お子様が生活や本の中で体験を多く積んでくるのに越したことはありませんが、受験までのタイムテーブルを思うと限界があるはずです。読書する時間も十分に取れないかと思いますので、ここは素材文の中で有意義な体験を積むのが現実的な対応になるかと思います。

作品の背景をおさえる

入試に出るあらゆる物語文に共通するポイントは人物の心情理解ですが、それぞれの文章には固有の背景があります。これらの理解が不十分な状態では心情を正しく読むことが困難になります。

背景をつかむ読み方を習得するには、相応の継続学習が必要であり、専門的なトレーニングを要するため一朝一夕にはまいりませんが、効果的なケース・スタディを得やすい(今後に向けての有益な経験学習となり得る)素材文をテキストベースでシステマチックに用いることで、本来時間を要するものを短縮することが可能です。入試のために必要な知識と経験、問題対処の方法を必要なものから優先的に取り入れていくことにより、ただ大量にこなす、とりあえず、ばくぜんと家庭教師の個別指導を受ける…といった学習法より早く結果を出すことが可能です。

当方では、有益な経験学習を積むのを目的として編集した「演習テキスト」を用い、必要な知識を段階的に身につけていただきます。

「メソッド」として提示される線引きの指導法


※心情が直接書かれているところに線を引く。

※行動・会話・表情など、間接的な動作に線を引く。

(直接的な描写と間接的な描写では、線を引き分ける。)

※心情の変化のきっかけ→反応の対応(因果関係)に注意する。

※心情にハートマークを付ける。

問題点

行動や心情が書かれているところに線を引くという方法は、国語の苦手なお子様の場合、第三者の監督がない限り実践が難しいことが多いようです。また、重要な情報が本文中に明示されない文章もあり、線引きが困難なものもございます。このような場合、作業にこだわりすぎると学習の方向性がずれてまいります。

大まかな話になりますが、( )内に直接的に心情を描くような物語文では、「文末表現に注意して、人物〇〇の気持ちの書かれているところに線を引いてごらん」と指定することで順調に作業を進められますが、心情が明示される場面が少なく、行間を読むべき物語文ではこうした作業が困難になります。

前者では線引きが有効な補助手段となり得ますが、後者の場合、単純作業系の線引きを実行しづらく、「どこに線を引いてよいのかわからない」となりがちです。さらには、線引きに固執した指導を行なうと「本文をどのように読むべきか」という本題が、「どのようなところに線を引くべきなのか?」という別論へといつの間にかすり替わっていることもございます。また、国語が特に苦手なお子様だと、読むことと線引きの同時作業が困難なこともあるのです。

対応策

①どのように線を引くのかより、どのように本文を読むのかを考える。

※線引き作業に固執しない、あくまで補助手段であることを念頭に置く。

②塾などで教わった読解法やこれまでの経験を生かし、本文の理解を確実にするための反射的動作としての線引きを目指す。

③上記のような問題点もあるが、国語の苦手なお子様にとってはメリットも多いため、家庭学習の中ではカラーペンを用いるなどして多めに線や印、その他のマークを付けて、本文とじっくり向き合う時間をとる。

④テストのときは、少なくともここだけはというように的を絞る。線引きにメリハリをつける。

【原因[きっかけ]+気持ち(文末)】の記述問題

サピックスで入塾時に基礎事項として国語Bの授業コマで教わる記述法ですが、すべての心情問題がこのような型で記述できるわけではありません。これに当てはめて書こうとするとかえって書けなくなることもあります。型を提示して「この通りに書け!」と指導することには無理があるのではないでしょうか。

ただ、この記述法についても、常に原因[きっかけ]を記述するとは限らないことや、設問の要求に応じて書き方を変えていくべきことなどを提示していくなら、実戦でかなり使えるものになるでしょう。アレンジを加えれば、応用の範囲が広がります。

当方家庭教師の指導現場では、このような一般的な記述の方法論に関しても汎用性を高める工夫や、苦手なお子様でも実戦に取り入れていただける配慮(ハードルを低くする工夫)をしています。

「気持ちの変化」の記述問題

『【背景】+①変化の前→②きっかけ→③変化の後』という型は最適化されているか?

国語の得意な子にはこのような記述法で良いのかもしれません。これをもとに、柔軟に最適な書き方を考えて記述するであろうと思われます。ですが、国語の苦手なお子様の場合、『②』に『出来事』を詰めこみすぎて破綻したり、要素のつなぎ方がわからず延々と考え込んだりします。一筋縄ではまいりません。

②には具体的な出来事のみが入るわけではないこと、必ずしも①→②→③の時系列で書くとは限らないこと、設問によっては②が不要であることなどを読解演習の中で経験的に学ぶ必要がございます。

当方が、サピックスの集団授業で国語の得意な子たちを担当していたときには実感が足りなかったことなのですが、得意な子と苦手な子には驚くほどの差があるものです。苦手な子は何がわからず困っているのかを講師の指導経験から予知することも国語を短期改善するための必須事項の一つであると考えております。