
語句の学習は幅を広げると同時に、深く学習することが大切です。以下に効果的な語句学習として挙げられるものを書いておきます。
①実物やイラストなどを見ながらイメージを浮かべつつ行なう
語句の知識がなければ、字面を追ってしまうにとどまり、本文の理解がうわべをさらったものになりがちです。語句に対してイメージがわかないないため、本文がわからないといったことが起こり得ます。こうしたことをできるだけ減らし、本文の内容を「わかる、知っている、見たことある」のような実感を伴って読めるようになるのを目指しましょう。語句の理解がイメージや実感を伴ったものになると、本文でつまずくことが減り、「なるほど、そういうことなのか」と頷きながらポジティブに本文と接することができるようになっていきます。そのため、ひとつの手段ではありますが、マンガで語句を学べる参考書はおすすめです。四字熟語やことわざなどもマンガで学べるシリーズが出版されていますので、言葉に親しむための入り口として活用してみてはいかがでしょうか。
②ストーリー(脈絡)の一部として学ぶ
「語句は例文の中で覚えるように」、「詰めこみでは力にならない」などと言われたことがあると思います。
上記の①と関連しますが、語句に対してイメージと実感できるものを増やしていくと、言葉の理解が深くなることで、本文に奥行きを感じながら読めるようになります。極端な例になるかもしれませんが、たとえば、本文に「人生は市松模様のようなものである。」と書かれていたとします。『ロビンソン・クルーソー』の物語(鈴木 恵 訳)を読んだことがある人なら、ロビンソンの無人島での生活が二十七年目に入ったある日、島に漂流した船長の命を助けることを通じ、島に流れ着いてからの歳月が、哀れな自分自身を嘆くものから、肯定的な意味のあるものに一変する場面を思い浮かべるかもしれません。人生において、幸不幸などが状況によって変転するものであると言っているのであろうと推測するなどして、奥行きのある理解をしながら読めるのです。
知識がなければただの四字熟語でしかありませんが、ストックがあれば、当該の語句に出あったときにイメージがふくらみ、心理的に余裕が生まれるのです。筆者が例示で説明、問題作成者が注釈をふるなど、何らかの解説があればそれらをヒントに本文を理解することができると思われますが、例示なし、本文のみの条件においては、本人が持てる知識を応用しながら読むことが必要になります。 抽象度の高い、いわゆる難文といわれる素材になるほど、このような力が求められます。
語句の知識を増やすためには、図鑑で見たり、実物に触れてみたりすることも大切なことです。樹木のブナであれば、辞書的な意味や植物学的定義を覚えるだけでなく、五感で実物を確認することも必要な学習と言えるでしょう。
当該のコンテクストから、初見の語句を推測できる力が大切なのは言うまでもありません。しかし、初見であり意味も知らない、イメージもまるで浮かばない…実感もない…といった言葉が本文中のあちらにも、こちらにもたくさんある。といった状態では、ポジティブに文章と向き合うのが難しくなるのです。
③複数の教材を併用して学び、言葉への理解を深める
四谷大塚の『四科のまとめ』をご覧になったことはあるでしょうか。特に言語要素の単元では、例文の掲載がほとんどなく言葉と辞書的な意味を結び付ける問題が大半を占めています。既に日常生活や他の問題集などで当該の言葉を学習しており、最終確認を目的として教材が編集されているのです。以前にその言葉を学んだことがあるのを前提に教材が作られているというわけです。
最初はマンガを入り口としてスタート、「漢字とことば」、「コトノハ」、その他の市販の語句問題集で暗記学習と問題演習を積んだうえで、最後の確認として「四科のまとめ」を学習するようにしましょう。語彙学習は複数の教材を段階を踏みながら進めるか、複数の教材を併用することをおすすめしております。
当方の国語家庭教師の指導現場では、『四科のまとめ』のような参考書を解くことにとどまらず、多角的なトレーニングを積んでいただくようにしております。